東方神起BL小説Ⅵ『果実のない街』27

 キャビネットから、透明なパックBOXを取り出し、ラップのパンを入れた。
 ユノのメッセージの下に、短い返事を書き入れ、銀の丸いボールペンを便箋の上に置いた。テーブルのボトルを開ける。 
 …ほのかに林檎の香りがする冷紅茶。 そのボトルもディパックに入れた。銀色のウィンドブレーカーをはおり、夕闇の迫る、ソウルの街へ、出て行った。




 …………………
 …オレンジのワンピースが、空を突如割って降り出した雨にグッショリ濡れて、折れそうな、細い脚に絡みつく。肩まであるまっすぐな髪が、青白い顔を包み、雨の雫を垂らす。 ─後ろからの豹の目のようなヘッドライトに、体をびくりと震わせた。路地の角に暗がりがある。路上の少し奥まったところに、ドアがあり、びしょ濡れの細身の体が凭れると、簡単に開く。中も暗がりで静まりかえっている。人の気配は無い。…埃の積もった床に、濡れたスカートの腰を、崩れるように下ろした。……──



 ─戸口の隙間。異様に、あざやかなオレンジの色が覗く。 路地裏から、モップと大きい丸いゴミ缶を抱え、歌を口ずさみ、表通りに入った少年。タップリ水を含んで、路面に貼り付くオレンジの布を引っ張った。




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