東方神起BL小説Ⅵ『果実のない街』30

 のし掛かってくる男の荒い息は、強い酒の匂いがする。「何だ…よ」顔を横に向けるチャンミンの髪を掴み、シャツの衿を引きちぎ切ろうとする。「─へッ」舌打ちして、のろのろと体をチャンミンの上から、起こす。 長めのもつれ、赤茶けた色の毛が垂れ下がる。掻き毟るように、みだれた髪を後ろに払い除け、チャンミンを見下ろした。 
 黙って、見上げる瞳は曇った午後の空をうつしている。…「フン」鼻を鳴らし、チャンミンの顔に一瞥をくれて、ソファベッドから下りる。
 「入ってこいよ」またドアの軋み音─。「グズが…。さっさと入れって」まるでコソ泥のように、部屋に入ってくる気配がした。  
 「コレだよ」ぶっきらぼうに云い放ち、チャンミンの方に顎をしゃくる。鼠のようにコソコソと入ってきた男は、黙り込んだままだ。「じゃ…すきにしろ」吐き捨てる口調になり、大きくため息をつき、荒々しく廊下へ出ていった。…まるで廊下の床を蹴るような足音が、ゆっくりと遠ざかった。
 「─どうしたんですか」チャンミンの足元に立ち竦んでいる男は、それでも黙っている。背丈はやや低めで頭は黒い毛を、短く刈りこんでいた。「あの、どう─」いきなり、掴み掛かられた。



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