東方神起BL小説Ⅵ『果実のない街』32

 ベッドの下に腕を伸ばし「紅茶、飲みます?」ディバッグを取り出す。「え?」口を閉じたきりの男は、驚いて顔を上げてチャンミンを見た。
「コップある?」「コップ? そとに自販機あって…」廊下に出ていくと、「故障してる。コップだけ取れた」小さめな紙コップを二つ、肉の厚い手に持ってきた。
 差し出される紙コップに、銀色のボトルから、紅茶を注いだ。甘いリンゴの匂いが、空気に浮かぶ。「どうぞ」ぎこちない手つきで男は、紙コップの紅茶を飲む。「うまいね」ひとくち飲んだチャンミンは、微笑む。
「オレふだん紅茶飲まないし、甘いとダメだけど。これは飲めるよ」「ユノが淹れてくれたんです」 紙コップを口に当てたままで、男はびっくりした目を向けてきた。「えッ…て、─ホントに?」小さな目を丸くする。
「ユノは男っぽい感じだけど…。優しいオンマみたいだね…」微笑むチャンミンに、「でもユノ引退するんだってね─」「うん。脚、休ませたいし…」「事務所も独立する話…聞いたけど」「知ってるね。どこで? きいたの…公式の発表はまだ先だよ」「あいつが云ってた…昔、モデルやって…今も芸能界、知ってるらしい」窓辺からラディオの音…─。



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