東方神起BL小説Ⅵ『果実のない街』40

 ……ソウルの街中にあるとは思えない、静けさを破るように「─マリィさん、彼女にお大事にと…お伝えください。ともかく─彼女の今後をお任せできることに、安心しました」「…ユンホさん。チャンミンさんのことです─」真っ直ぐな視線が、ユノを捉えた。
 「チャンミンさんを、お止めするようユンホさんに、お願いしたいのです」口を開きかけたユノに「ある人を、探されているのでしょう」
 マリィの瞳に暗い閃きがあった。「今夜にでもチャンミンさんに連絡をとって…あの男を─、探してはいけません」炎の馬に引かせたニ車輪に乗り、太陽をめざす古代ローマの戦争の女神を思わすマリィは、言葉を継ぐ。「事務所設立のご挨拶を、チャンミンさんおひとりに出向かせる。それは表向きの話…」「─おっしゃる通りです」ユノの整った横顔が翳った。「チャンミンの約束を…私も、果たしたいと思いました。小さな嫌がらせもありましたが…」「それは取るに足らないことでしょう? それに、もう─充分でしょう」静かにマリィは、云った。
 「ユンホさんをお送りしなさい」命じると同時に青年が立ち上がる。「今夜お話したこと、急いでください」マリィの雌獅子の輝きの眼差しにユノは深く頷く。

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