東方神起BL小説Ⅵ『果実のない街』37

 少年のか細い指が、からめとるように手をキツく、握ってくる。…奥に進むほど、辺りは暗い。
 少年は先を急ぐように、チャンミンの手を、グイグイ引っ張る。
 ─言葉を掛けようとするチャンミンに、手をさらにからませてくる。まるで、恋人同士が二人きりで歩く格好になった。─「お兄さん…」チャンミンの顔を見上げながら、痛いくらいにスリムな身体を押しつけてきた。
 ─舗道を、車のタイヤが行く音が聴こえた。
 …白い細い指先を伸ばすと少年は、闇を押すような仕草をした。─気がつくと、街の夜の空気の中にいた。「こっ─ち。…」迷路のような裏通り。
 突然、立ち止まった少年が、赤銅色のドアを叩く─。重そうなドアが開くと同時に、チャンミンの腕を振りほどいた少年は、力いっぱいチャンミンの背を、体当たりする勢いで突き飛ばす。「よゥ─。お疲れサン」見覚えある顔が、せせら笑いでチャンミンを迎えていた。



 [ユンホさん…]小さな、扉に取り付けられたマイクがいきなり、呼び掛ける。「ハイ? ─」[点滅します。指先で触れて下さい]イエローに瞬く辺りに、タッチパネルの感触がある。鈍く唸る音が足元から、わき上がる。





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