東方神起BL小説Ⅴ“天窓のあるガレージ”2

 拳で口元を、ぬぐって「チャンミンお前─」背中に小さな顔を近づけて「血、出てる…」背筋に沿ったなだらかな筋肉の辺りを、心配そうに覗き見る─「錆びが付いただけ、平気です」少し長めの前髪をかき上げたチャンミンは小さく微笑う─。「傷かと思った」ホッとした様子で、階段から取り上げた白いTシャツは、幾筋も赤い斜め線が付いていた。袖無しのグレーのシ…
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東方神起BL小説Ⅴ“天窓のあるガレージ”1

 「ここ…来いよ」階段に座って呼ぶ。 ─夏の真昼なのに、薄い暗さの中、階段もよく見えなかった。「蜘蛛の巣が張ってる─誰も入らないみたいですよ」足元がザリザリ云う。 「でもあそこ、窓あるな」─丸い形の満月を思わせる、高い窓。入り口から少し離れて2台の自転車が、それぞれ、勝手な方向をむいて白昼の夏の光を浴びていた。「ツアー終わって少し休みあ…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジ―*43

 「もう退院でしょう? 復帰もすぐですね」ジフンも笑って「そう、レラに大事にされたから…ね」答えた。「ヤン監督ね、第2部もうシナリオに入ってるかも…」ジフンは顔を綻ばす。「─第2部ねぇ、今度は良くしたいな」…無邪気な瞳でチャンミンとユノ、両方を代わる代わる見て「兄弟仲をね」「僕…」横顔に河から反射した明るい光を受けながら「夜市(イエシ)…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*42

 「彼は…短気過ぎた」チャンミンは河面を見た。明けはじめた空は薄い灰色をした雲を載せ、水面上と空の境目は、レモンの色に染まる。 「ユノ」視線をチャンミンから自分の側に立つユノに当て「レラが何でも面倒見てくれて、ここ完全看護だけど、ナース以上なんだ」「レラ兄さん…世話好きですから─」少し笑うと「もっと早くお見舞いしたかったんです─でも…仕…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*41

 ─ジフンの顔を見つめていたチャンミンは、ユノの横顔に目を移した。ユノの目から涙がジフンの長い指が置かれた、白いシーツの上に落ちる。「ユノ、力になれなくて─僕に、頼んでくれたのに。…力が足らなかった」 チャンミンに向き「脅迫状は中身はシム・チャンミン、お前に宛てた手紙…楽には殺さないって。死ぬ、一緒に─ってそれで」「…だから、ジフンさ…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*40

 淡い明るさの小さな部屋。丸いテーブルに可愛らしいポピーが、飾られてあった。後ろのドアが開くと「来たか─」レラが立っていた。「ジフン兄さん─どうです?」チャンミンの肩に手をやり「落ち着いてるよ。様子見てくる」病室に入って行った。…部屋の小さな天窓から、微かな夜明けの空の気配が、伝わって来る。「入れよ。お前たちの顔見せてやれよ」レラが病室…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*39

 静かな面持ちを、ユノは変えなかった。「恥ずかしい。おかしな電話たった1本で─」ユノはチャンミンの涙を拭くような仕草で頬に、指先をそっと、当てた。「ユノ。僕って汚い」頬の手に自分の手を重ねながらチャンミンは「ひどい人間だよ。みんなユノのせいに、して─」 …大扉の向こうから、刑事らしい若い男がふたりを認めて、こちらにやって来る。その方にう…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*38

 「お客様」後ろのドアがノックされ二人が、振り返ると、ホテルの総主任が「警察の方がお呼びです。もう一度お二方にお話を伺いたいそうです」…廊下に出る。「チャンミン。お前、俺に訊きたいことって…」小さくチャンミンは頭を振り「ユノ…それも、終わったことなんだ」壁に沿って動く二つの薄い影。「脅迫状…中身はお前宛だった」俯いたユノの頬に高い天井の…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*37

 小さな人影がチラチラ動いている。「トラブルの多い奴だった」ユノの腕に巻かれた白い包帯。また1台、警察車両が到着した。赤いランプに急き立てられるように警官たちはテラスの真下に走る。 「炊事場でリンゴ剥くからってナイフ借りれば、急に見境なく振り回すし」夜中に巣から這い出た無数の蟻の小ささに警官たちを見下ろせる窓辺。「一緒に入隊した時から…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*36

 「怪我してるんだ! ユノに何する─」起き上がって体当たりしたチャンミンの首に手を廻すと、そのまま廊下に引き摺り出そうとする。部屋の奥に向かって、飛んだナイフが、積み上げられた家具の太い脚に当たって、床を滑る。喉元を強く掴み取られ、チャンミンは廊下に、引っ張り出された。  「どこ行くの、チャンミン連れて」濃い紫色のセパレーツ姿のガンヒ…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*35

 「今度は─何です? また…自分の手は汚さない気ですか…」 闇の中を無言でユノが近寄って来た。 …手探りでチャンミンの手を握ってくる。濡れた感触だった。─大雨の中にいる時のような血の匂い。「チャンミン」押し殺した声。室内はまだ、暗い。「灯り、─点けて」腕を押さえたユノが、続き部屋の扉を振り返る。自分の着ているTシャツの裾をチャンミンは引…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*34

 控え室に当てられた一室には、奥まった場所に、椅子や小さな卓、低い棚などが雑然と並んでいて、改装中の旧いホテルの一部屋らしかった。 目の前に造り付けの縦長の鏡があり、その前に置かれたテーブルの上に、次の衣裳が、あった。 「ここ、続き部屋らしい…」離れた壁に近づき、ユノはその壁に埋め込まれたような扉に触れる。 「ユノ」チャンミンの呼び掛…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*33

 ガラスのテラス。闇に浮かぶようなセット。…肩を並べるふたり。ユノが冷ややかな目をチャンミンに移して何か云う─。チャンミンは全く動じない。自分の目の前に広がる鮮やかなソウルの街の夜の煌めきに魅せられている。  …─誰もが息をのんで、無言劇のような演技を続けるふたりを見ている。…ふたりを撮るカメラに紅い雫が細かく映った。夜の空は蝙蝠…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*32

 現場で渡されたシナリオを頭に入れるのに夢中になっていると、爽やかなジャスミンの香りがする。顔を上げる。「チャンミン…」ガンヒが笑い掛ける。「従姉さん」笑顔で頷き「大変ね。さっき渡されたんでしょう?」シナリオを覗き込む。「…ジフン兄さん降板で、─ドラマの後半変わって…残念です」云いながら隅でヤン監督や演出家たちに囲まれているユノに目をや…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*31

 遠慮がちのノックの音がしてユノが入って来る。  目を瞑って、横をチャンミンは向く。  「汗出てるね」サイド・テーブルに小さいトレーを置く。「体温計…持って来たけど、面倒か」  チャンミンは黙っていた。…同じ部屋にユノといるのが、苛立たしい。早く、ユノに出て行って、欲しかった。ひとりになって、ジフンのことだけを想いたかった。「……
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*30

自分を射るような視線に気付かないのか、手で軽くチャンミンの髪に触れ「混み入った話みたいだ。お前も色々と疲れたろ…?明日にしよう」 何か云いかける様子のチャンミンの肩を掌で包むとそのまま、腕に沿って、ゆっくりと下ろす。「チャンミン…」柔らかな髪に唇を埋める。…こんな時に─。 …ジフン兄さんは病院で今もひとりで…警察も動いて…偶然の事故じゃ…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*29

 『チャンミン─』スマホの向こうの声は懐かしい響き。『チャンミン、気をつけて欲しいの。心配だわ』(従姉さん─)『警察にも話したけど、あの時、急に脚触られて。ジフンさんも何かに足元を押されたみたいで…』(兄さん…が誰かに?)『もうすぐ現場に私また戻れる。ラストのワンカット、出てくれって監督が云うから─』  ガンヒに礼を云って、スマホを置…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*28

 背中をベランダの柵に押し当てる。闇の下界を深紅の車が通りを行く。サラサラと乾いた砂の零れるようなタイヤ音…アスファルトは濡れた光。 (兄さん)─ジフンは入院、ドラマ‘夜市-イエシ’は降板。ガンヒは暫く休養するという─。 (チャンミン。監督の意向でドラマはお前の残りのシーン撮って、1部終了になる。2部の再開は未定…)マネージ…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*27

 ジフンとガンヒがホールの中二階のようなセットで、演出家の最終チェックを受けている。  (…チャンミン。気をつけて。─衣装箪笥の扉が、照明が落ちたのも、事故じゃない。だから、気をつけて─)頭の中でジフンの声がぐるぐる回っていた。見上げたセットの上のジフンとガンヒが小さく、頼り無げに見えた。(兄さん。従姉さん)─スタート!行きます!…
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東方神起BL小説Ⅳ*悪魔のファンタジー*26

 お疲れ様!OKです…─ スタッフの声が響くと、チャニョルとタオがほうっと同時にため息を吐いた。黒いベル・ボーイの制服姿のふたりに拍手をしながらジフンは「緊張してたんだね…」労いの言葉をかけた。ふたりの顔が紅くなる。「あ、─有り難う、ございます…」「俺たちEXO残留組ですけど─嬉しい…です」「残留組?」ふたりは照れ笑いする。「メンバー…
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